日本の温泉の泉質の種類と効果効能を解説
温泉にはどんな効果効能があるの？
日本の温泉は、古代から現代に至るまで、健康と癒しを求める人々に愛されてきました。
「古事記」や「日本書紀」では、温泉が神聖な場所として崇められ治癒の力があると信じられていたことが記されています。その後、中世時代には武士や僧侶の社交場として、江戸時代には「湯治場」としての一般にも広く普及し、現代では観光だけでなくリラクゼーションや美容の目的で訪れる人も多くいます。
そんな温泉ですが、どのような効果効能があるのでしょうか？
温泉には、源泉ごとに様々な泉質の温泉が湧き出ていて、その成分や物理的特性によって異なる効果効能があるとされています。
自分の目的に合った源泉を選んだり、今まで入ったことの無い種類の源泉の温泉を選ぶことでより温泉を楽しめたり、効果を感じることができるかもしれません。
この記事では、源泉の種類とそれぞれの特徴や効果効能を解説します。
温泉の泉質の種類
源泉はその内部に溶けている成分や物理的特性によって大きく10種類に分類されています。
- 単純温泉
- 塩化物泉
- 炭酸水素塩泉
- 硫酸塩泉
- 二酸化炭素泉
- 含鉄泉
- 酸性泉
- 硫黄泉
- 放射能泉
- 含よう素泉
単純温泉(単純泉)
特徴
単純温泉は含有成分が少なく、無色透明・無味無臭で刺激が少ないのが特徴です。そのため、肌に優しく子供からお年寄りの全ての世代で楽しむことができます。疲労回復や神経痛、筋肉痛などの改善に効果があるとされています。
効果効能
- 疲労回復
- 神経痛
- 不眠症の改善
- ストレス解消
日本の代表的な温泉地
- 道後温泉（愛媛県）
- 鬼怒川温泉 (栃木県)
- 箱根湯本温泉（神奈川県）
塩化物泉
特徴
塩化物泉は海水に似た成分を含み、塩辛い味が特徴です。入浴後に皮膚に付着した塩分が汗の蒸発を防ぐため、保温効果が高く、湯冷めしにくいのが魅力。冷え性や傷の治癒を促進する効果が期待できます。飲用では胃腸の消化液の分泌、運動を促すことで便秘や胃腸病に効果があるとされています。
効果効能
- 冷え性改善
- 関節痛の緩和
- 切り傷や火傷の治癒促進
- 皮膚乾燥症の改善
日本の代表的な温泉地
- 銀婚湯（北海道二海郡八雲町）
- あたご温泉（青森県弘前市）
- 有馬温泉 金泉（兵庫県）
炭酸水素塩泉
特徴
炭酸水素塩泉には、石鹸のような働きがあり、肌の角質や毛穴の汚れを取り除く効果があります。そのため、美肌効果が高いことで知られています。また、血行促進や新陳代謝を活性化させるため、冷え性や疲労回復にも適しています。
効果効能
- 美肌効果
- 切り傷や火傷の治癒促進
- 慢性皮膚病の改善
日本の代表的な温泉地
- 長湯温泉（大分県竹田市）
- 七里田温泉 下湯（大分県竹田市）
- 松代温泉（長野県）
硫酸塩泉
特徴
硫酸塩泉とは、硫酸イオンを含んだ温泉をさします。硫酸塩泉は、傷の治癒や動脈硬化の予防に効果的で、「脳卒中の湯」とも呼ばれる泉質です。また、保温効果が高く、冷え性や皮膚病の改善にも役立つとされています。
ただし刺激が強いため敏感肌の人は注意が必要です。
効果効能
- 動脈硬化の予防
- 高血圧の改善
- 鎮静作用
- 慢性皮膚病の改善
日本の代表的な温泉地
- 鷺の湯温泉（島根県安来市）
- 湯村温泉（兵庫県）
- 山代温泉（石川県加賀市）
二酸化炭素泉
特徴
二酸化炭素泉は炭酸ガスを含み、入浴中に体に付着する気泡が血行を促進します。この働きにより、血圧降下や冷え性の改善に効果があり、爽快感が得られることも特徴です。
効果効能
- 高血圧や動脈硬化の改善
- 冷え性の緩和
- 胃腸機能の向上
- 疲労回復
日本の代表的な温泉地
- 七里田温泉 下湯（大分県竹田市）
- 唐沢鉱泉（長野県茅野市）
- 肘折温泉（山形県）
含鉄泉
特徴
含鉄泉は鉄分を多く含み、空気に触れると赤褐色に変化するのが特徴です。貧血改善や冷え性に効果があり、「婦人の湯」とも呼ばれています。鉄分を補いたい方におすすめです。
効果効能
- 貧血の改善
- 冷え性の緩和
- リウマチの改善
- 慢性湿疹の緩和
日本の代表的な温泉地
- 鳴子温泉（宮城県）
- 横谷温泉（長野県蓼科高原）
- 有馬温泉 金泉（兵庫県）
酸性泉
特徴
酸性泉はpHが低く、殺菌力が高い泉質です。皮膚病やアトピー性皮膚炎に効果があり、古い角質を剥がして新陳代謝を促進します。ただし、刺激が強いため肌が弱い人は注意が必要です。
効果効能
- アトピー性皮膚炎の改善
- 尋常性乾癬の緩和
- 糖尿病の改善
- 皮膚病の治癒促進
日本の代表的な温泉地
- 蔵王温泉（山形県）
- 川湯温泉（北海道弟子屈町）
- 酸ヶ湯温泉（青森県青森市）
硫黄泉
特徴
硫黄泉は独特の卵が腐ったような臭いが特徴で、殺菌効果が高い泉質です。皮膚病やアトピー性皮膚炎、関節痛の改善に効果が期待されます。また、湯の花が見られることも多いのが特徴です。
効果効能
- アトピー性皮膚炎の改善
- 慢性湿疹の緩和
- 動脈硬化の予防
日本の代表的な温泉地
- 草津温泉（群馬県）
- 登別温泉（北海道）
- 別府温泉（大分県）
放射能泉
特徴
放射能泉はラドンなどの放射性成分を含み、関節痛や慢性痛の緩和に効果があるとされています。泉温が低いものが多く、加熱して利用されることが一般的です。
効果効能
- 痛風や関節リウマチの改善
- 免疫力の向上
- 新陳代謝の促進
日本の代表的な温泉地
- 鏡山温泉（佐賀県）
- 三朝温泉（鳥取県）
- 玉川温泉（秋田県）
含よう素泉
特徴
含よう素泉はよう化物イオンを含み、殺菌作用が高い泉質です。茶褐色の湯で薬のような匂いが特徴です。飲用では高コレステロール血症の改善に効果があるとも言われています。
効果効能
- 殺菌作用
- コレステロール低下
- 動脈硬化の予防
日本の代表的な温泉地
- 白子温泉（千葉県）
- 東京染井温泉（東京都）
- 豊富温泉（北海道天塩郡）
温泉旅で心と体をリフレッシュ
日本各地に点在する温泉は、その泉質ごとに異なる効果効能を持ち、私たちの健康や癒しに役立つ貴重な自然の恵みです。疲れた心を癒したいとき、体の不調を整えたいとき、目的に合った温泉地を選ぶことで、より効果的にリフレッシュできます。また、温泉はただのリラクゼーションだけでなく、美容や健康維持にもつながります。次の休日には、温泉の効能を楽しみながら、癒しのひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。心も体も温まり、新たなエネルギーを得られることでしょう。